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Amazonと電子書籍

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私は、電子書籍の本質を見誤れば大企業といえども失敗する! と機会あるごとに話してきました。事実、昨年は多くの企業が、電子書籍事業から撤退して行きました。 これらの企業に共通するのは、電子書籍事業に参入するにあたり、 プラットフォームビジネスもしくは電子書籍用端末ビジネスを選択したことです。しかし、それは、 電子書籍の本質から言って、そもそも戦う土俵を間違っていました。なぜなら、電子書籍の本質とは、スマートフォンのデジタルコンテンツ・ビジネスだからです。

Amazonという存在

日本における本格的な電子書籍時代の始まりは、Amazon Kindleストアの日本オープンです。それ以前も、大手国内企業による、電子書籍事業への取組みが何度かありました。しかし、前述のとおり、電子書籍の本質をスタートから見誤ったビジネスでは、いつの間にか撤退というストーリーの繰り返しでした。そして、2012年10月、突然黒船のごとく日本にやって来たのが、Amazon Kindleストアです。画期的だったのは、電子書籍の販売だけではなく、誰でも自由に電子出版できる仕組み(Kindle direct publishing)ごと、日本に持ってきたことです。

グローバル企業であるAmazonは、 既に世界中に巨大なサーバー網を構築しています。Amazonのネットビジネスの本質は、 このサーバー網を使ったクラウドビジネスにあります。皆さんが普段利用しているAmazon.co.jpのサイトは、その巨大サーバー網を使ったサービスの一部に過ぎません。あまり知られていませんが、銀行などの金融機関も、こぞってAmazonのクラウドシステムを採用しています。因みに、私のところにAmazonから毎月振り込まれる電子出版ロイヤリティは、 ドイツ銀行東京支店からです! Amazonとドイツ銀行の関係が見えてきます。

 


Amazonはテクノロジーの企業

せっかくですので、Amazonの本質に触れておきたいと思います。
「Amazon=テクノロジーの企業」
これが、Amazonが考える、Amazonの本質です。 ピント来ない方のために、少々ヒントを。AWSを、ご存じでしょうか? 初めて聞いたという方は、ぜひその内容をお確かめください。

Amazonがテクノロジーと呼んでいるのは、このAWS(Amazon Web Services)事業のことです。 最先端のIT技術、とくに次世代コンピューティング(データ処理や情報処理)の分野では、既にAmazonが世界を制する勢のようです。クラウドという言葉が浸透してきましたが、Amazonはこの分野でも圧倒的なシェアを手に入れています。 世界のクラウド事業の中で、2位マイクロソフト社の、実に10倍もの規模になるそうです。スタートからたったの10年で、Amazon AWSは世界を制するまでになりました。

もしあなたが、Amazonでの電子出版を経験することがあれば、そのシステムとスピード感に、「Amazon=テクノロジーの企業」の意味するところを深く実感することになるでしょう。先日(2016年6月)、私のところで電子出版した電子書籍は、Amazonへの出版申請からAmazonのサイトに専用の販売ページがつくられるまで、その所用時間は、たったの55分でした! 私たちは、1時間を切るスピードで、全世界に同時販売できる出版メディアを手にしたことになります。これは本当に驚くべきことです。

 


デジタルコンテンツ・ビジネスと無料キャンペーン

ところで、形のないデジタルコンテンツ・ビジネスでは、 コンテンツの質が全てということになります。では、Amazonはどうやってコンテンツの質を見分けるのでしょう? Amazonの電子出版の申請には審査がありますが、これは自動化されています。ロボット検索で電子書籍の内容に不備がない限り、翌日には出版されます。ですから、出版の時点で、コンテンツの質まで見分ることはできません。私の経験上、推察されることは、Amazonが選んだ賢明なる方法は、ユーザーに委ねる仕組み、それが無料キャンペーンではないか? ということです。

最近の無料キャンペーンは、とにかく出せばダウンロードという状況は終わり、 自分にあった本をきちんと選んでダウンロードする傾向が強くなって来ています。目の肥えた読書家の多い日本では、当然の動きと言えるでしょう。 また、意識の高い読者に選ばれる電子書籍であれば、 有料販売でも、広く受け入れられるということが、容易に想像できます。

Amazonの目論見?!

Amazonは、誰でも自由に、しかも無料で電子出版が行えるサービスを、あらかじめ構築していたクラウドシステムに導入しました。 Amazonは、プラットフォームをあらたに作ったのでは無く 既にあるものを利用し構築したのです。Amazonの狙いは、あらゆる方法を使って 魅力あるデジタルコンテンツを世界中から獲得することです。 それは、プロの作家のみならず埋もれている未知のコンテンツの獲得をも目的としています。つまり、集めたコンテンツが魅力あるものかどうかを決めるのは読者であり、購入するのもまた読者であるということです。

例によって、Amazonがその目論見を教えてくれることはありません。 しかしながら、上記のようなAmazonの目論見が、この3年半の電子出版の経験を通じて、随所に感じとることができたのです。

※追記(2017-08-22):現在、Amazon Kindleストアでの主流は、無料キャンペーンから、Kindle Unlimited(定額読み放題サービス)へと移行しつつあります。この場合も、コンテンツの質を決めるのは、読者ということに変わりありません。


電子出版が目指すもの

デジタルコンテンツ・ビジネスの「鍵」を見つけられない限り、 今年も多くの企業が、この業界から撤退を余儀なくされるでしょう。”紙を電子化したもの” という超古典的なイメージのビジネスでは、デジタルネイティブ世代に見向きもされないからです。幸い、日本には優秀な編集者がたくさんおられます。 彼らが紙に固執せず、デジタルネイティブ向けのデジタルコンテンツを作っていくことに目覚めた時、きっと面白いことが起きるのではないでしょうか?

私たちに出来ることは、自らの経験知識を1冊でも多く、 デジタルネイティブ世代に電子書籍化して残していくことです。今までは、紙の本が次世代へ知恵を繋いできました。 これからは、デジタル・コンテンツで、デジタルネイティブ世代へと繋いでいくことが求められていくと、私は感じるのです。

 

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